変わり谷いかがですか?|中村 修平
「GPプロモ」なるものをご存知ですか?
2007年から始まったグランプリの参加する度に1枚貰えるカードの事ですね。 前期と後期でそれぞれ違うGPプロモが配られていたという年もありましたが、 配布期間は基本的にはプレミアイベントのサイクルに合わせての1年間。 去年の《稲妻/Lightning Bolt(3ED)》なんかは人気も高く、モダンの大会で見かけた方も多いはず。2月1週に開催されるGP名古屋からは《流刑への道/Path to Exile(ARC)》へと切り替わるアナウンスがされるなどモダンで使われる強力な除去というのが今のウィザーズの配布方針のようですね。 しかしこうなるまでには色々と変遷があったのです。
まず第1回は《魂売り/Spiritmonger(IMA)》。 5マナ6/6能力いっぱい持ち。配られた当時からみても昔は強かったよねという類のカード。 プロモで無闇に強いカードを刷ってはいけない。 当時のウィザーズは明らかにそういう方針を取っていてプロモといえば、二線級という印象がありました。 何やらこのカードに思い入れがあったヤソがコレクションしてると言ってた以外はまあ、貰えるものだし貰っておこうかといった感じだったのを覚えています。
画像引用:ギャザ速第2回の《獣群の呼び声/Call of the Herd(ODY)》も同じ方向性。 初出のオデッセイでは確かにまごうことなきトップレアだったのですが、ちょっと前に再録されて全く使われなかったですやん。と各地で突っ込みがあったようななかったような。 かつてのトップレア、だが現在は使われていない。
画像引用:ギャザ速そんな方針から風向きが変わったのは第3回プロモ《金属モックス/Chrome Mox(EMA)》 これは初出も当時も一線級な高額カード。シーズン初めのアメリカグランプリに行って即日本のお店に持ち込んだら結構なお値段で買取してもらった事を覚えています。 そういえばこのカードが使えるエクステンデットのグランプリでも結構な数、このバージョンの《金属モックス/Chrome Mox(EMA)》を出されましたっけ 画像引用:ギャザ速 第4回プロモ《梅澤の十手》もモックスと同じく当時もなんなら今でも強力なカード。 これもまたグランプリでさんざん見ました。
画像引用:ギャザ速こんな感じで価値のほぼ無くなったカードからスタンダードでは落ちているものの、その下のフォーマットでは使える強力でお値段もするレアカード。という流れに変わってくれてウィザーズも分かってきてくれたか… と思っていたら
この時期に立ち上がった新フォーマットであるところのモダンでは開幕から両方使用禁止カードに指定されてました。
ちょっと喜ばれるカードにしたら、禁止にしてしまうとは! さすがは我らがウィザーズです。 まあ、カードを作るのとゲームを整備する部門ではそれぞれゴール地点も違うでしょうし大変だとは思いますけどね。
さて、仕切り直しての第5回プロモ《大渦の脈動/Maelstrom Pulse(MMA)》はちょっと逡巡が見られるセレクト。 これも初出のアラーラ再誕ではトップレアでしたが《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy(GRN)》が出るまではそれなりには使われ続けられたりしました。 この微妙に反省して、派手すぎはしないが現行で使えるカードにはしたという感じがなんだかんだ言いつつもウィザーズを憎めないところでもあります。
画像引用:ギャザ速また「現行モダンで使える」という現在の《稲妻/Lightning Bolt(3ED)》にまで続く基準はこの辺からですね。
第6回プロモの《ゴブリンの先達》ではカードパワー的には更に強化されてます。 このカード、未だに赤バーン系のデッキでは4枚搭載されているくらい強力カードなのです。 これ以降はイラスト美麗路線で書き直し版の《睡蓮のコブラ 》であったり EDH需要の《全ては塵/All Is Dust(MM2)》というような変則回はありますが《原始のタイタン/Primeval Titan(M11)》、《殴打頭蓋》(これは例外ですね)、《グリセルブランド/Griselbrand(MM3)》とモダンで使われる余地があるものに加えて、4枚集める価値があるものといった基準が付け加えられていきました。
画像引用:ギャザ速ところがその流れに異変が生じたのが第12回目、2016年度版プロモの《石鍛冶の神秘家》。 たしかにデッキに入る場合は4枚積みなのですが 実はこのカード、ついこの間までモダンで禁止だったのですよね。 僕はどうせウィザーズの事だから深読みするだけ無駄だなと思ったのですが プロモになったからには近々禁止解除されるに違いないと読んだ人も結構いたようです。 実際に解禁されるまでの3年間、禁止改定日前後で値段が乱高下するカードといえばこのカードでした。
画像引用:ギャザ速第13回プロモの《大祖始》 で、どうしてこうなってしまったのか 石鍛冶はちょっと方向性が見えないものの強力なカードですし理解は出来るのですが なぜ次が《大祖始》? モダンで使われた実績は僕の知る限りコストの高さを利用した1回きり、しかもその時の相方は即禁止。 せめて新イラストにしてくれればフォローできる要素となりえたのですが何故かこれだけはイラストもそのままでのプロモ化。 配布直後のバイヤーブースで2ドル(200円)買取から更に値下げされてたのは後にも先にもこれだけです。
画像引用:ギャザ速いったいGPプロモはどうなってしまうのか そんな翌年の2018年度の第14回プロモ、《変わり谷/Mutavault(MOR)》が今回僕が出品するカードです。結論から言ってしまうと悪くない 初出のモーニングタイドではトップレア。そして基本的にはフェッチランドからの多色というモダン環境の中では主流とは言えませんが、マーフォークのような単色種族デッキに使われ続けています。 前述のモダンで使われているカードという条件内で充分に及第点カード。むしろなぜ去年が大祖始だったんだと言いたくなるような無難さだったのですが…
はい、パイオニアです。 公式フォーマットになったパイオニアではフェッチランドが全て使用禁止。 モダンとの差別化をはかるためでしょうがフェッチ→ショックインというこれまでのお約束が封じられた結果、相対的に単色である事の価値が上がり《変わり谷/Mutavault(MOR)》を使うデッキが幅を効かせる環境になっているのです。 まさかの新フォーマットで大暴騰。いやあこんな事もあるんですね
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プロモ 変わり谷