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パイオニア・青白コントロールのススメ|細川侑也

皆様初めまして。
magi prosの細川 侑也と申します。

▼著者

magi pros:細川 侑也(@yuyan_mtg)

実績 GP名古屋2018 準優勝 GP横浜2019 トップ8 GP千葉2019 トップ8 早速ですが本日は、現在僕がパイオニアで愛用しているデッキ、青白コントロールの解説をさせていただきます。

1.現在のパイオニア環境

まず、青白コントロールについて話す前に、現在のパイオニアについてざっとおさらいをしましょう。 パイオニアは、10月の後半にまだ始まったばかりの全く新しいフォーマットですが、2020年のグランプリ名古屋で早速採用も決まっており、多くのプレイヤーが遊んでいます。 そのため、未開の新環境ながら、既に凄まじいスピードで攻略が成されて行っています。 まずトップメタとして君臨しているのは黒単アグロ。 直近の大型トーナメント、SCGインビテーショナルを制し、その後のマジックオンラインでの大会でも立て続けに好成績を残しているこのデッキは、まず意識しなければならない相手。 《漆黒軍の騎士》や《血に染まりし勇者》、《屑鉄場のたかり屋》といった軽量かつ良質なクリーチャーに、潤滑油の《密輸人の回転翼機》、更に《致命的な一押し》と《思考囲い》というレガシー級のスペルを擁しています。

【黒単アグロ】

4:《ロークスワイン城/Castle Locthwain》 4:《変わり谷/Mutavault》 15:《沼/Swamp》 1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》 4:《血に染まりし勇者/Bloodsoaked Champion》 1:《節くれの傷皮持ち/Gnarled Scarhide》 4:《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion》 4:《残忍な騎士/Murderous Rider》 4:《夜市の見張り/Night Market Lookout》 3:《悪ふざけの名人、ランクル/Rankle, Master of Pranks》 4:《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》 4:《思考囲い/Thoughtseize》 4:《致命的な一押し/Fatal Push》 4:《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter》 sideboard cards 2:《荒廃甲虫/Blightbeetle》 2:《見栄え損ない/Disfigure》 4:《強迫/Duress》 2:《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》 2:《軍団の最期/Legion's End》 2:《害悪な掌握/Noxious Grasp》 1:《精神染み/Stain the Mind》 そして、その黒単アグロを苦手としながらも、他の多くのデッキを圧倒しているのが、緑単ニクソス。 緑単ニクソスは、その名の通り《ニクスの祭殿、ニクソス》で大量のマナを生み出して《世界を揺るがす者、ニッサ》や《アーク弓のレインジャー、ビビアン》を高速で唱えるデッキ。 《炎樹族の使者》からの《ニクスの祭殿、ニクソス》で最速2ターン目にこれらのプレインズウォーカーが着地することもあります。

【緑単ニクソス】

2:《ギャレンブリグ城/Castle Garenbrig》 15:《森/Forest》 4:《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》 4:《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》 4:《エルフの神秘家/Elvish Mystic》 4:《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》 4:《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》 3:《漁る軟泥/Scavenging Ooze》 4:《大食のハイドラ/Voracious Hydra》 4:《歩行バリスタ/Walking Ballista》 4:《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》 4:《アーク弓のレインジャー、ビビアン/Vivien, Arkbow Ranger》 4:《むかしむかし/Once Upon a Time》 sideboard cards 3:《英雄的介入/Heroic Intervention》 2:《造命師の動物記/Lifecrafter's Bestiary》 3:《ナイレアの信奉者/Nylea's Disciple》 2:《探索する獣/Questing Beast》 2:《再利用の賢者/Reclamation Sage》 1:《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》 2:《霊気のほころび/Unravel the AEther》 黒単アグロ、緑単ニクソスという二大巨頭の下には、バントランプや緑単ランプなどの《死者の原野》を活用したランプデッキや、シミックネクサス、緑黒鱗、イゼットフェニックス、青白フラッシュなど、多種多様なデッキが存在しています。

2.青白コントロール

そろそろ話を青白コントロールに移しましょう。 青白コントロールの利点はいくつかありますが、何より大きいのは、環境最強の全体除去である《至高の評決》を使える点です。 アグロデッキ全般に対して1枚で後腐れなく対処できる《至高の評決》は、青白コントロールをプレイする理由になります。 対応力の高さも青白コントロールのウリです。 打ち消しをメインから搭載できることから、コンボデッキにも耐性がありますし、《時を解す者、テフェリー》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》のコンビは、クリーチャーだけでなくどんな置物にも触ることができます。 以下が、現在僕が使用しているリストです。

【青白コントロール】

5:《平地/Plains》 4:《氷河の城砦/Glacial Fortress》 4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》 4:《島/Island》 4:《変わり谷/Mutavault》 3:《灌漑農地/Irrigated Farmland》 1:《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》 1:《ヴァントレス城/Castle Vantress》 1:《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》 4:《厚かましい借り手/Brazen Borrower》 3:《中略/Syncopate》 4:《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》 2:《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》 3:《不許可/Disallow》 3:《スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation》 4:《至高の評決/Supreme Verdict》 1:《啓示の刻/Hour of Revelation》 2:《アズカンタの探索/Search for Azcanta》 4:《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》 3:《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》 sideboard cards 4:《浄光の使徒/Apostle of Purifying Light》 1:《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》 1:《否認/Negate》 2:《神秘の論争/Mystical Dispute》 2:《敬虔な命令/Devout Decree》 2:《異端の輝き/Glare of Heresy》 1:《空想の書物/Folio of Fancies》 2:《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》

3.リスト解説

《厚かましい借り手》

まず始めに目につくのがこのカードだと思います。ですがこのカードには、コントロールが求めている要素がすべて詰まっています。 青白コントロールは、序盤は相手の攻めを凌いでいき、その内全体除去で遅れを取り戻し、相手が息切れしたタイミングでドローを打つことで勝利していくデッキです。 バウンスは手札に戻すだけなので、ただ時間を遅らせることしかできませんが、コントロールデッキではそれで十分なのです。時間さえ遅らせれば、後でどうとでも対処できます。 3/1飛行というサイズも強力で、青白コントロールが苦手とするプレインズウォーカーへ圧力をかけることができます。後述の《変わり谷》と合わせて、なかなかプレインズウォーカーの定着を許しません。 例えば相手が3ターン目に《時を解す者、テフェリー》を出そうとします。それにスタックして、《厚かましい借り手》を唱えます。相手はプラス能力を起動しても忠誠値が5しかないため、《変わり谷》との攻撃で落とされますし、マイナスから入って《厚かましい借り手》を戻したところで、《変わり谷》でやはり退場となります。 また、《密輸人の回転翼機》や《呪文捕らえ》など、このデッキが苦手とするカードに対して、3/1飛行はブロッカーとしての役目を十分に果たせます。 《拘留の宝球》から一時的にカードを解放することもできますし、とにかく器用なカードです。

打ち消し呪文

このデッキには大量の打ち消し呪文が入っていますが、それぞれ役割は異なります。 《中略》はアグロからミッドレンジに対する序盤の回答札で、《不許可》と《ドビンの拒否権》は、一度盤面をコントロールして後、相手に主導権を渡さないための打ち消しです。とはいえ、序盤に打てる時はすぐに打っていってしまいますが。 《スフィンクスの啓示》で手札を回復し、有利な状況を一度作り上げても、パイオニアのカードはとても強いため、1枚の呪文で簡単に逆転されてしまいます。その勝ち目を潰す役割が打ち消し呪文にはあり、きちんと引き込むために5枚採用しています。

《時を解す者、テフェリー》

《厚かましい借り手》の時にも説明しましたが、このデッキはとにかく序盤を凌ぐことが命題です。生き延びることが勝利への第一歩と言えます。 その目的に最も合致したプレインズウォーカーが、《時を解す者、テフェリー》です。 バウンスでカードを引き、更には生き残っているだけで動きを大幅に制限され、インスタントタイミングで全体除去を食らう可能性を考慮しなければならない。《時を解す者、テフェリー》は、ビートダウンにもコントロールにも、残るだけで支配的な強さです。 《時を解す者、テフェリー》でクリーチャーを戻し、出し直させる。それだけで1ターンを得ることになります。そこから妨害を重ねていけば、《時を解す者、テフェリー》を処理された頃には、既に準備が整っている場合が多いでしょう。

《ドミナリアの英雄、テフェリー》

このデッキのフィニッシャーです。 ただプラス能力を使い続けるだけで勝手にゲームに勝利できるという、とんでもない性能を持つプレインズウォーカー。しかも出したターンの終わりに土地が2枚起きるため、《ドビンの拒否権》や《厚かましい借り手》を構えることができます。 2マナの妨害手段が《アゾリウスの魔除け》と合わせて多めに採用してあるのは、《ドミナリアの英雄、テフェリー》との相性も考慮してのことです。 《ドミナリアの英雄、テフェリー》は自身にマイナス能力を使うことで、ライブラリーアウトを防ぐことができます。これによって対戦相手をライブラリーアウトにできることを覚えておきましょう。

《スフィンクスの啓示》

数あるドロースペルの中でも最高の1枚。コントロールフリークのプレイヤーに、このカードが嫌いな人はいないでしょう。 Xドロー呪文は数多くありますが、その弱点は単純に「重い」ことで、それがデッキに複数枚採用されにくい理由でもあります。《発展+発破》は2マナのモードがついていて、更に《荒野の再生》下での相性の良さから4枚採用されていますが、他のXドローは重さが原因でなかなか枚数を多くは入れられません。 しかし、《スフィンクスの啓示》は違います。Xドローを打つという、言わば何もしないターンが生まれる弱点を、ライフゲインで補っているのです。 盤面が押され気味で、ドローも妨害もしたい状況はたびたび訪れますが、《スフィンクスの啓示》ならその悩みも緩和されます。4点ダメージを食らうターンで4点のライフを得れば、実質そのターンに喰らうダメージは0。4枚のカードを引きながら、そのターンのダメージを無効化できるのです。 青白コントロールの強さを支えているのは《スフィンクスの啓示》と言って差し支えません。青白コントロールの実質的なフィニッシャーはこのカードです。

《変わり谷》

一般的な青白コントロールでは《廃墟の地》が入っていますが、僕は《変わり谷》を強く推します。 理由は、《変わり谷》の方がより青白コントロールに合っていると考えているからです。 《廃墟の地》は特殊地形を破壊するカードであり、強力なことに異論はありません。《ロークスワイン城》や《死者の原野》など、破壊したいカードには困りませんからね。 しかし、プレインズウォーカーへのプレッシャーにはなりません。 その点で、《変わり谷》は大きく優れているといえます。 先ほど、《厚かましい借り手》でも説明した通り、《時を解す者、テフェリー》を出されるシチュエーションで、《変わり谷》は絶大なプレッシャーとなります。《王冠泥棒、オーコ》以外のプレインズウォーカーは、《変わり谷》の前に簡単に出すことはできません。 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》ですら、《厚かましい借り手》とタッグを組めばすぐに落とせます。 また、複数枚引いた時のクロックの速さも見逃せません。《時を解す者、テフェリー》が残れば《変わり谷》は除去されない2/2となりますし、また起動マナが非常に軽いため、妨害しつつ攻撃を繰り出し続けることができます。 盤面をリセットし、《厚かましい借り手》と《変わり谷》で速やかにビートダウンをする展開は非常に多く、これは《廃墟の地》にはできない芸当です。

4.他のカード候補

《廃墟の地》

《変わり谷》で触れましたが、こちらも強力なカードです。現在の構成は《死者の原野》に触れないため、環境にランプが多くなるようであれば、《廃墟の地》にするか、もしくは《変わり谷》と枚数を分けて採用するのもアリです。

《残骸の漂着》

インスタントである点は魅力的。ですが、4マナに《至高の評決》がある以上、後半引いた時のバリューの高さから、《啓示の刻》を優先しています。

《封じ込め》

《啓示の刻》との相性の悪さから採用を見送っていますが、強力な除去です。《密輸人の回転翼機》を対処する術が現状ほとんどないので、スロットを見つけて採用しても良いでしょう。

《時を越えた探索》

序盤に手札に来ると墓地が足らずに打ちづらく、後半引くならば《スフィンクスの啓示》の方が良かったため、採用を見送っています。このカードを入れたいのであれば、《選択》や《ヒエログリフの輝き》など、墓地に溜まるドロースペルを何枚か入れるべきだと思います。

5.Tips

|コントロール同型ではライブラリーこそライフなり

コントロールミラーマッチでは、お互いに決め手となるカードよりも妨害札の方が多くなりがちです。そのため、ゲームはライブラリーアウトで決まることも少なくありません。 序盤こそ土地を伸ばし合いますが、後半に気軽に《スフィンクスの啓示》で7枚引いてしまうと、ライブラリーの枚数差で負けます。 決まり手は《ドミナリアの英雄、テフェリー》による大マイナス以外にほとんどありませんし、それが成功するかどうかは、打ち消しをどれぐらい引いているかですし、《ドミナリアの英雄、テフェリー》がすべて処理されることも多々あります。 ライブラリーの枚数を相手に聞くと、ライブラリーアウトで勝とうとしていることがバレてしまいます。そのため、相手のライブラリーを数えるのではなく、手札と墓地と場のカードの枚数から、相手の残りライブラリーを逆算するのがおすすめです。 なお、このライブラリー対決を制するために、《イプヌの細流》が1枚入っています。

|《アゾリウスの魔除け》は自分のクリーチャーにも打てる

そこまで頻発しませんが、《厚かましい借り手》を戻せるということは覚えておいて損はありません。

|《不許可》は様々な場面で使える

アグロ相手に《不許可》を序盤で打ち損じても、心配する必要はありません。特に大マイナスで一発で負ける《最後の望み、リリアナ》や《反逆の先導者、チャンドラ》に対しては、起動型能力を消すモードで使用することで、実質的な除去として機能します。 相手視点ではこちらに《不許可》が入っているかわかりませんし、大マイナスを決められるターンはすぐにでも決めたいはずです。そのため思いの外、不許可による大マイナス打ち消しは決まります。

|《時を解す者、テフェリー》を上手く使おう

一度着地すると、相手に妨害されずに好きなことができるプレインズウォーカー。大幅にプレイが簡単になります。 マイナス能力で《厚かましい借り手》を戻して再度バウンスから使用できたり、プラス能力で相手ターンに《至高の評決》を打つなど、いろいろなことができます。 なお、プラス能力を一度使えば、《時を解す者、テフェリー》が退場したとしても、そのターンはソーサリーをインスタントタイミングで唱えられます。《次元の浄化》を打つ際は覚えておきましょう。

6.簡易サイドボードインアウト

|黒単アグロ

In

4:《浄光の使徒/Apostle of Purifying Light》 2:《敬虔な命令/Devout Decree》

Out

3:《不許可/Disallow》 2:《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》 1:《啓示の刻/Hour of Revelation》

|緑単ニクソス

In

1:《否認/Negate》

Out

1:《中略/Syncopate》(自分が後手の場合) 1:《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》(自分が先手の場合)

|ランプ全般

In

2:《夢を引き裂く者、アショク》 1:《否認》 1:《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》 2:《神秘の論争》

Out

1:《啓示の刻》 4:《至高の評決》 1:《アゾリウスの魔除け》

|青白フラッシュ

In

2:《神秘の論争/Mystical Dispute》 2:《異端の輝き/Glare of Heresy》

Out

1:《アズカンタの探索》 1:《啓示の刻》 1:《アゾリウスの魔除け》 1:《不許可》

|青白コントロール同型

In

1:《否認》 1:《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》 2:《神秘の論争》 1:《空想の書物/Folio of Fancies》

Out

1:《啓示の刻》 4:《至高の評決》

7.終わりに

長々とお付き合いいただきまして、誠にありがとうございます。 この記事を執筆しているのは、晴れる屋で11月23日開催のパイオニア神超戦者決定戦の前日。この後、リストに多少の変化があるかもしれませんが、今この段階では僕の中で最高の青白コントロールです。 コントロール好きな方は、ぜひ一度組んでみてください。 それではまた次回、magiマガジンでお会いしましょう。
招待コード
JA9XS8
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