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MTG黒田正城のエルダー通信Vol.2|モダン、パイオニア雑感

みなさん、こんにちは。 Magic the Gathering公式解説者 + BIG MAGIC ELDERS の黒田正城です。 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

黒田正城選手(@masashiro41236)プロフィール】 日本人初のプロツアー優勝者。 現在はBIG MAGICの長老枠「ELDERS」としてプレイヤーを続ける一方、公式放送の解説も務めている。 ~実績~ プロツアー神戸04 優勝 プロツアー名古屋05 ベスト8 グランプリベスト8 8回入賞 など

めっきり寒くなってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 気温は下がりましたが、年末年始はマジックにとって非常にアツいシーズンです。スタンダードの祭典であるFinals、モダンの大イベントであるMMM Finals、同じくレガシーのEternal Party。他にも複合フォーマットのThe Last Sunと大会が目白押しでした。そして、今月末にはマジックフェストとプレイヤーズツアーが名古屋で併催されます。私もプレイヤーズツアーに参加予定です。 パイオニアの練習はいくらやっても時間が足りず困っていますが、いろんなデッキ・カードに触れることができる良い機会でもあり、大変ワクワクしています!

では、今回の本題に入っていきましょう。

① モダンについて

さて、今週の話題といえばモダンの禁止カードですね。 《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》は当然の結果だと思いますが、まさか《オパールのモックス/Mox Opal》と《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》が同時にいかれるとは思っていませんでした。どのカードも長い間使っていただけに、ちょっとショックです。

昨年の話になりますが、私はめでたくMMM Finalsで2年ぶりのトップ8に入ることができました。デッキは上記禁止カードを全部詰め込んだ青緑ウルザです。同時期に開催されたThe Last Sunで優勝した松本友樹さんも同タイプのデッキを使用しており、他のデッキとは異なる次元の強さがあったと思います。

松本 友樹 「ウルザオーコ」

The Last Sun 2019

メイン

4 《金のガチョウ/Gilded Goose》 4  《湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Loch》 4  《最高工匠卿、ウルザ/Urza, Lord High Artificer》 2  《金属の叱責/Metallic Rebuke》 3  《謎めいた命令/Cryptic Command》 4  《ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble》 4  《オパールのモックス/Mox Opal》 3  《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》 4  《アーカムの天測儀/Arcum's Astrolabe》 4  《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》 3  《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》 4  《冠雪の島/Snow-Covered Island》 1  《冠雪の森/Snow-Covered Forest》 1  《繁殖池/Breeding Pool》 1  《湿った墓/Watery Grave》 1  《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》 4  《霧深い雨林/Misty Rainforest》 3  《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 3  《汚染された三角州/Polluted Delta》 3  《沸騰する小湖/Scalding Tarn》

サイドボード

3  《減衰球/Damping Sphere》 2  《致命的な一押し/Fatal Push》 2  《思考囲い/Thoughtseize》 2  《夏の帳/Veil of Summer》 1  《呪文滑り/Spellskite》 1  《湖での水難/Drown in the Loch》 1  《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》 1  《真髄の針/Pithing Needle》 1  《罠の橋/Ensnaring Bridge》 1  《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》

私のデッキもほとんど同じ内容でしたが、1ターン目のマナ加速が確実にできるよう《貴族の教主/Noble Hierarch》を追加しています。エルドレインの王権が発売される以前も結果を残していましたが、《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》のおかげで《オパールの鹿》、《ガラクタの鹿》などが戦場をうろつくようになり、さらに凶悪なデッキになりました。

とはいえ、このデッキの必須パーツは《最高工匠卿、ウルザ/Urza, Lord High Artificer》です。このカードもいつ禁止になってもおかしくないレベルのパワーカードです。マナ加速、アドバンテージ、フィニッシャー確保を1枚で解決してくれるので当然ですね。 鹿がいなくなっても、《弱者の剣/Sword of the Meek》と《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》のソプターコンボや《練達飛行機械職人、サイ/Sai, Master Thopterist》、《湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Loch》、《逆説的な結果/Paradoxical Outcome》のコンボも健在です。まだまだこのカードはやってくれると思います。

《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》は《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》とのセットで暴れまわっていたカードです。場に大量のパーマネントがあるのに、マナすら出すことができず何もできない、という状況は非常に不愉快だと思います。たった2枚のカードでそのロックが成立してしまうので禁止も仕方ないでしょう。使う側からすると、《カーン》を守る必要がありそんな簡単にロックが決まるわけではないんですけどね。これによってウルザトロンのフィニッシャーも大きく変わり、一世代前のデッキに戻ることが予想されます。

かわいそうなのは、親和などのアーティファクトを主体としたデッキです。完全にとばっちりを受けた形で、《ウルザ》も《カーン》も使っていないのに、初速の要であった《オパールのモックス/Mox Opal》を封じられ著しくパワーダウンしてしまいました。私の周りにも、親和をただひたすら使い込んでいた仙人のようなプレイヤーが何人かいますが、みんな白い目をして口を開けています。これからは彼らの分も頑張っていくのが私の使命だと思います。

《ウルザ》に押さえつけられていた他のデッキがこれから戻ってくるでしょう。【テーロス還魂記】から新規参入してくるカードも含め、モダンは大変盛り上がると思います!

②パイオニアについて

さて、もう一つの話題としてパイオニアの話をしたいと思います。

禁止カードの設定も落ち着き、いよいよ本格的に環境の研究が始まっている時期ですね。 正直なところ、私自身は苦戦が続いています。5回戦のMOリーグで、4-1はそこそこできるのですが一度も5-0できた試しがありません。いろんなデッキにフラフラしながらなので熟練度が低いせいもあるのでしょうが、「これだ!」というデッキになかなか巡り会えておらず焦りを感じています。

最初は《荒野の再生》が好きすぎて、こんなデッキを使っていました。

メイン

4 《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》 3 《厚かましい借り手/Brazen Borrower》 4 《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》 3 《スカラベの神/The Scarab God》 1 《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》 4 《致命的な一押し/Fatal Push》 4 《成長のらせん/Growth Spiral》 2 《突然の衰微/Abrupt Decay》 2 《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》 4 《荒野の再生/Wilderness Reclamation》 3 《時を越えた探索/Dig Through Time》 2 《華やかな宮殿/Opulent Palace》 4 《繁殖池/Breeding Pool》 4 《湿った墓/Watery Grave》 2 《草むした墓/Overgrown Tomb》 4 《寓話の小道/Fabled Passage》 2 《島/Island》 2 《森/Forest》 1 《沼/Swamp》 2 《伐採地の滝/Lumbering Falls》 2 《森林の墓地/Woodland Cemetery》 1 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》

サイドボード

3 《不屈の追跡者/Tireless Tracker》 3 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》 3 《神秘の論争/Mystical Dispute》 2 《否認/Negate》 2 《衰滅/Languish》 2 《害悪な掌握/Noxious Grasp》

2ターン目:《成長のらせん/Growth Spiral》 3ターン目:《荒野の再生/Wilderness Reclamation》と、アンタップした土地から《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》でカウンター 4ターン目:《スカラベの饗宴/Scarab Feast》と、アンタップした土地から《スカラベの神/The Scarab God》の能力を起動

という流れが理想的な、非常に厚かましいデッキです笑 4-1は何度もあるのですが、とにかくマナベースに問題が多すぎて安定しないですね。3色特有の、序盤のもたつきも多く、赤青ハサミや緑単の《グレートヘンジ/The Great Henge》によくやられた記憶があります。

《スカラベの神/The Scarab God》と、サイド後に入ってくる《不屈の追跡者/Tireless Tracker》だけは非常に強く、《荒野の再生/Wilderness Reclamation》で浮いたマナとも相性が良いのでここだけは可能性を感じました。お薦めはできませんが、変なデッキが好きな人は触ってみてください笑

それからはいろんなデッキを渡り歩きました。 以下、雑感も含めて記載します。

・《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》+《森の女人像/Sylvan Caryatid》、《楽園のドルイド/Paradise Druid》の隆盛コンボ

メインの勝率は良いものの、効果的なサイドプランが確立できずトータルではいまいち。《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》や《僧院の導師/Monastery Mentor》で乗り切れるか。マナクリーチャーが大量に入っているので、もっと重いフィニッシャーを考慮しても良いかもしれない。

・緑単色(信心型、《原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger》型)

序盤に巨大クリーチャーを展開することができ、赤系のデッキには有利。アドバンテージ源としては《グレートヘンジ/The Great Henge》が非常に強力。黒除去が豊富なデッキや、全体除去を標準装備している青白が頭痛の種。

・黒単

早いクロック、優秀な除去と手札破壊で安定した戦いができる。再利用可能なクリーチャーと《ロークスワイン城/Castle Locthwain》のおかげで、長期戦になっても息切れしない。世の常として赤いデッキが苦手で、特に《神々の憤怒/Anger of the Gods》が致命的。

・赤単

速攻、ミッドレンジ、タッチ黒の《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》活用形など多種多様。幅広いデッキと渡り合える自力の強さを感じるが、《魂剥ぎ/Soulflayer》は当たった瞬間負け、というぐらいに厳しいマッチアップ。

・青白コントロール

クリーチャーを軸とした単色系や、ミッドレンジに対して有利。環境がその方向に流れつつあるので立ち位置が良い。2種類の《テフェリー》の強さを堪能できる。《睡蓮の原野/Lotus Field》コンボなど、特殊なデッキにどう対抗するかが重要。このデッキに限らず、サイド後によく飛んでくるようになった《思考のひずみ/Thought Distortion》に対する備えを忘れずに。

・・・などです。この他にも、《睡蓮の原野/Lotus Field》コンボや緑系のランプ、白緑呪禁オーラなど、かなり多彩なデッキが見られるようになりましたね。

各所で言われている通り、単色系の安定感とスピードは非常に魅力的だと思いました。 ですが、それぞれ天敵がいることも事実です。 例えば緑単はとんでもないスピードで巨大クリーチャーを展開できますが、《至高の評決/Supreme Verdict》をフル投入している青白には子供のようにあしらわれてしまいます。赤単は《魂剥ぎ/Soulflayer》に対して完全に無力で、《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》のような墓地対策を少々積んでいてもほとんど意味がありません。普通に出てくる《探索する獣/Questing Beast》でやられるパターンも多いです。 サイドボードの柔軟性が低いため、「当たったら負け」というデッキが明確になっているのが単色の特徴だと思います。

じゃあ、各色から強いカードを持ってきて全部突っ込んだらどうか?というコンセプトのデッキが、最近急に結果を残し始めた「5色ニヴ」です。

メイン

3 《ニヴ=ミゼット再誕/Niv-Mizzet Reborn》 4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》 2 《探索する獣/Questing Beast》 2 《包囲サイ/Siege Rhino》 1 《狼の友、トルシミール/Tolsimir, Friend to Wolves》 1 《人質取り/Hostage Taker》 4 《白日の下に/Bring to Light》 2 《突然の衰微/Abrupt Decay》 1 《戦慄掘り/Dreadbore》 2 《ケイヤの誓い/Oath of Kaya》 4 《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》 1 《至高の評決/Supreme Verdict》 1 《完全なる終わり/Utter End》 2 《発見+発散/Discovery+Dispersal》 2 《木端+微塵/Cut+Ribbons》 1 《コラガンの命令/Kolaghan's Command》 1 《漂流自我/Unmoored Ego》 2 《まばらな木立ち/Scattered Groves》 1 《繁殖池/Breeding Pool》 1 《血の墓所/Blood Crypt》 1 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》 2 《神無き祭殿/Godless Shrine》 1 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》 1 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》 1 《蒸気孔/Steam Vents》 1 《寺院の庭/Temple Garden》 1 《湿った墓/Watery Grave》 1 《草むした墓/Overgrown Tomb》 1 《森林の墓地/Woodland Cemetery》 1 《平地/Plains》 1 《島/Island》 1 《沼/Swamp》 1 《山/Mountain》 1 《森/Forest》 4 《寓話の小道/Fabled Passage》 1 《華やかな宮殿/Opulent Palace》 1 《開拓地の野営地/Frontier Bivouac》

サイド

2 《思考消去/Thought Erasure》 2 《冥府の報い/Infernal Reckoning》 1 《至高の評決/Supreme Verdict》 2 《神秘の論争/Mystical Dispute》 1 《龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw》 1 《思考のひずみ/Thought Distortion》 1 《ラクドスの復活/Rakdos’s Return》 4 《安らかなる眠り/Rest in Peace》 1 《秋の騎士/Knight of Autumn》

《ニヴ=ミゼット再誕/Niv-Mizzet Reborn》はモダンの環境にも職人がおり、たまにリーグで5-0しているのを見かけましたが、パイオニアでも活躍し始めました。マナベースと呪文の選択肢が多すぎるため、このように結果を残したお手本が出てくると急に研究が進むようになります。

《森の女人像/Sylvan Caryatid》と《発見+発散/Discovery+Dispersal》でマナを揃えることができれば、後は《ニヴ=ミゼット再誕/Niv-Mizzet Reborn》や《白日の下に/Bring to Light》といったパワーカードを連打するだけの展開になるため回し方もシンプルです。

特に、《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》の+能力を起動した後、相手の攻撃に合わせて《白日の下に/Bring to Light》を5色でプレイし、《ニヴ=ミゼット再誕/Niv-Mizzet Reborn》を出す必勝パターンが強烈ですね。中盤の軸となる《包囲サイ/Siege Rhino》や《探索する獣/Questing Beast》が単純に強いため単色系にも安定して戦うことができ、今後人気が出るアーキタイプだと思います。

さて、他にも気になるデッキは色々あるのですが、最近触り始めたデッキを紹介して、今回は終わりたいと思います。「白赤騎士」という、非常に純朴なビートダウンです。

メイン

4 《尊い騎士/Venerable Knight》 4 《不屈の護衛/Dauntless Bodyguard》 4 《立派な騎士/Worthy Knight》 4 《古参の戦導者/Veteran Warleader》 4 《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》 4 《ベナリア史/History of Benalia》 4 《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》 3 《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》 3 《石の宣告/Declaration in Stone》 2 《議事会の裁き/Conclave Tribunal》 2 《ボロスの魔除け/Boros Charm》 9 《平地/Plains》 4 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》 4 《断崖の避難所/Clifftop Retreat》 4 《感動的な眺望所/Inspiring Vantage》 1 《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》

サイド

2 《丸焼き/Fry》 4 《安らかなる眠り/Rest in Peace》 2 《精霊への挑戦/Brave the Elements》 1 《鬼斬の聖騎士/Fiendslayer Paladin》 2 《ボロスの魔除け/Boros Charm》 1 《石の宣告/Declaration in Stone》 1 《残骸の漂着/Settle the Wreckage》 2 《耳の痛い静寂/Deafening Silence》

1マナ2/1、2マナ2/2と順に展開していく、お手本のようなフェアデッキです。全てのクリーチャーを強化するカードが10枚以上含まれており、環境屈指の強力な横並び戦略となっています。

《立派な騎士/Worthy Knight》は見慣れないカードですが、2枚並ぶと大変なことになります。逆にスタンダードの可能性も感じるようになりました笑 《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》や《サリアの副官/Thalia's Lieutenant》とのシナジーも強烈です。

先ほど紹介した青白や5色ニヴのような、全体除去を使ってくる相手に対しては《ボロスの魔除け/Boros Charm》が素晴らしい働きをします。3つのモードがどれも優秀で、緑単の《英雄的介入/Heroic Intervention》とはえらい違いだな、と思いますね。

愚直なビートダウンなので、シンプルなデッキが好きな方にオススメしたいです。私も5年ぶりぐらいに、平地とクリーチャーを並べて新鮮な気持ちになりました笑

さて、今回は以上です。 あと半月しかありませんが、プレイヤーズツアーに向けてガッツリ練習したいと思います。これからはテーロス還魂記が登場し、新カードのテストやリミテッドの練習が始まりますので、全く時間が足りないです笑

それではまた次回、お会いしましょう!