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コレクターが海外版の「五王」を語る! | なず

精霊ですら、怯えていた。やってくる敵の巨大さに。

8月20日。デュエプレの世界に五体の王が降り立った。それは良き世界と時代の為等では無く、古文書(2004年くらいに発行されたやつ)に記されていた悪夢の再来であった。 絶大なる多色の力を振りかざし侵攻する無敵軍団。そして個々の力は及ばずとも、団結によってそれに対抗する無限軍団。あるいは巨大なドラゴンと、人形を伴うソーラーマシン。 如何なる存在も争いも、王達にとっては等しく無力であった。王達の名は「英霊王スターマン」「蛇魂王ナーガ」「聖獣王ペガサス」「太陽王ソウル・フェニックス」「暗黒王デス・フェニックス」。 五体の王には他の如何なる存在も太刀打ちできず、あらゆる生命と魂が無価値となる。誰もがそれを現実だと、そうはっきりと理解したその瞬間。フィオナの森の最深部にあるという仙界より、噴火と共に第六の王が現れたのだった。 存在し得なかった筈の、其の王の名は「龍炎鳳エターナル・フェニックス」。世界を滅亡へと導く王に相対する。世界を存続へと導く王。その力を以て、世界は王達の脅威から解放されることとなる。

アナザー・ストーリー

以上が古代デュエマと、そのリバイバルであるデュエプレにおける聖拳編のラストである。 それぞれ随所において登場人物や出来事は異なっているが、五体の王の復活と滅亡の危機、そして第六の王の登場によって幕が閉じられる、という流れは一致している。 古代デュエマにおいてもデュエプレにおいても、2つのパラレルワールドの結末は同じであったが、もしかすると三体のフェニックスの内、残りの二体、あるいは一体が生き残った結末もどこかにあるのかもしれない。しかし、後発として記されている物語においてはいずれも「エターナル・フェニックスと残りの2体のフェニックスが相打ちした」後の世界として描かれている。同様に、エターナル・フェニックスが生き残った世界というのも、未だに確認されていない。 存在しないものを本当に存在しないと証明するのは困難であり、これも仮説に過ぎないがデュエル・マスターズの世界において「六体の王がすべて消滅する」事は運命づけられているのかもしれない。確認できる資料から察するに、王達の決着なくして文明は発達し得ない様に思える。その様な世界において、クロスギアを発掘し、じっくり改良するような余裕はあるだろうか?王達のうち誰かが生き残ったとするならば、それは私たちの知らない全く新しい世界であるだろう。 さて、日本語で展開されたこの2つの物語だが、じつはもう一つ、知られざる王達の戦いがある事をご存じだろうか?そう、こんな記事を読んでいる位だからとっくにお察しの事だろう。海外版デュエマにも五王が存在し、またフレーバーも記述されているのである。今回は海外版DM-12「融合超獣の激震/Thrash of the Hybrid Megacreatures」のカードの中から5王に関する記述をピックアップし、紹介していきたいと思う。

「英霊王スターマン/Wise Starnoid, Avatar of Hope」

1体目の王はスターマン。海外版における五王にはいずれも「○○の化身 ××な~」という二つ名で統一されており、彼の名前を直訳すると「希望の化身 賢きスターノイド」である。 なぜかスターマンと言う名前は不採用となっているが、他の五王が「名前あるいはその一部が種族」という法則を持っている点から、むしろこちらのほうが自然である。 賢きスターノイドそのものにはフレーバーは存在しないが、以下のカードに関連した記述が見受けられる。 “もしも外に出るというなら、傘とレインコート、そして錨を持っていくといいよ。- 希望の化身 スターマン” -「タイフーン・クロウラー/Typhoon Crawler」より ”彼が自分がUFO(未確認飛行物体)と呼ばれるのにうんざりしていると言うから、僕は助言したんだ。世界中の全てのクリーチャーに自己紹介すると良いってね。今や彼はIFO(有確認飛行物体)さ。彼はもっと沢山のパーティーに正体される様になったよ。- 希望の化身 スターマン” -「電磁賢者シリオン/Electro Explorer Syrion」より なんと!!! まさかの!!!!!! ジョーク........ッ!!!!!! はい。これは海外版デュエマの大きな特徴の一つですね。海外版のフレーバーには如何にもアメリカンなジョークが多いです。映画とかでよく聞く軽口叩いてるあの感じです。日本語版のフレーバーだとかなり緊迫した空気が漂っているのですが、流石アメリカ。

「蛇魂王ナーガ/Cruel Naga, Avatar of Fate」

直訳すると「運命の化身 残酷なナーガ」ですね。今や大人気のゲームでおなじみの「Fate」という単語ですが、同じく運命を意味する「Destiny」と比べるとかなり悲劇的なニュアンスがあります。名前の部分は「クルーエル・ナーガ」ですが、遊戯王に出てきた「クル・エルナ村(実在します)」とは無関係の様です。意識はしたかもしれませんが。 ...なんかちょっとミーハーなカードですね!ナーガに関する記述は以下の通り。 “現実か幻か、どちらなのかを知る事が大切です。ただし、強大な幻に押しつぶされている真っ最中なら例外です。それが本物かどうか、さして重要ではないのですから。 - 運命の化身 残酷なナーガ” -「電影妖魔ドルメール/Sea Mutant Dormel」より “この世において脆いのは生命だけではありません。例えば死も、ですね。 - 運命の化身 残酷なナーガ” -「ギガレイズ/Gigarayze」より 賢いスターノイドと違い、残酷なナーガはかなり真面目な仕上がり。キャラクターが立っていて良い感じですね。 ギガレイズは殆ど直訳ですが、日本語版のフレーバーは「儚いのは生命だけでは無い。死も思ったよりいい加減なものだ。」と、内容にはあまり差がありませんね。なんとなくですがフレーバーのニュアンスが近いものは英語→日本語で訳されている様な気がするんですが、どうなんでしょうか。どちらにしても翻訳者の方がすごすぎる...。

「聖獣王ペガサス/Aura Pegasus, Avatar of Life」

直訳すると「生命の化身 霊気を纏うペガサス」ですね。ナーガとは対になるイメージです。「オーラ」の解釈が難しいですね。ニュアンス的には「聖なる気を纏う」みたいな雰囲気がありますが、日本語版っぽくするなら「生命の化身 オーラ・ペガサス」の方が...いや、でもこれだと他の王との統一感が... 「オーラ」って日本語の単語に無い言葉なんでしょうか。ペガサスさんが登場するのは以下のカードたち。 “そのとてつもない鋏は、雲をも切断することができましょう。” - 生命の化身 霊気を纏うペガサス - 「レべリオン・クワキリ/Pincer Scarab」より “これはこの星で最も重要な任務の一つです。虹をパトロールし、その曲がり具合と全ての色が揃っているか同かを確認するのです。そして、オレンジの色が丸々一か月も抜けていたら、グリタリスが探しに行きます。まあ、いつもそうなんですけどね。”- 生命の化身 霊気を纏うペガサス - 「勇猛幻風/Spectral Horn Glitalis」より グリタリスさん!? 日本語版のフレーバーはもちろん、漫画でも頼れる賢者みたいなキャラだったのに、どうしてこんなアホの子に...

「太陽王ソウル・フェニックス/Soul Phoenix, Avatar of Unity」

直訳すると「結束の化身 魂のフェニックス」ですが、ここは流石にソウル・フェニックスで良いですね。(まあ前の三枚もそうなのですが) 登場フレーバーはこちら。 “ビトッチはこの星での私のガイドになる筈でした。あなた、話す言葉の半分がピーチクパーチクで、残りの半分がブンブン言うって人と会話をしようとした事はありますか?私は先週諦めました。耳栓も付けてます。” - 結束の化身 ソウル・フェニックス -「翔天鎧冑ビトッチ/Buzz Betocchi」より “おお、なんと素晴らしい!時の流れよりも早いだなんて!” - 結束の化身 ソウル・フェニックス」 -「閃神兵ラウゼス/Hypersprint Warrior Uzesol」より “おお、なんと素晴らしい!時の流れよりも遅いだなんて!” - 結束の化身 ソウル・フェニックス -「召集するタートル・ホーン/Turtle Horn, the Imposing」 まさかソウル・フェニックスさんもジョーク枠だったとは...。ビトッチは海外では「ブンブン・ビトッチ」みたいな名前です。恐らく耳元をブンブン飛び回り、ピーピーとうるさく鳴いていたのでしょう。 それぞれフレーバーからはソウル・フェニックスが他の世界から来たという事が読み取れます。つまりこれは「仙界」が海外版においても存在していることを示し、やはり大まかな設定が共有されているという裏付けになります。

「暗黒王デス・フェニックス/Death Phoenix, Avatar of Doom」

直訳すると「破滅の化身 死のフェニックス」です。デス・フェニックスで良いですね。はい。ストーリーでは強大で邪悪な大ボスですが、さて彼はジョーク枠なんでしょうか?それともガチ枠なんでしょうか?彼の登場するフレーバーをどうぞ! “この星はちょっとしたホラーに満ちている。気に入ったよ、この星を死の大災厄で破滅させるつもりだったが、ちょっと見物してからにする。” - 破滅の化身 デス・フェニックス -「翔天魔獣ギガッピ/Gigappi Ponto」より “自らからは逃げられない。” - 破滅の化身 デス・フェニックス -「クローン・バイス/Cloned Nightmare」より ”プラズマ粒子?不快な。帯電だと?それはちょっとおかしくないか。帯電したプラズマ粒子?それはラインを超えているぞ!” - 破滅の化身 デス・フェニックス -「預言者ミズーイ/Mizoy, the Oracle」より ...一応ガチ枠、ですかね?ソウル・フェニックス同様、新しい世界を楽しもうという姿勢が感じられます。意外と友好的なのかも?と思えばそれは大間違い。おまけに無限軍団のフレーバーもご紹介しますが、五王からするとお気楽気分で観光なんて言えてしまうほど、この超獣世界など取るに足らないレベルの場所なのだという事が分かります! “キルスティンは雲を超えて無限軍団を率いた。化身狩りが始まった。” -「星雲の精霊キルスティン/Kilstine, Nebula Elemental」 “無限軍団のリーダー達は、行き過ぎた戦術だけが化身達を止められると悟りました。” -「爆輪男/Steamroller Mutant」 キルスティンのフレーバーからは「エンジェルコマンドは本来このような下界の物と組む事は無いが、五王と戦うのであれば四の五の言ってられない」と、爆輪男のフレーバーからは「盛大な自爆のみ友好、しかし足止め程度である」といった内容が読み取れます。それに加えてクローン・バイスの「自らからは、逃げられない。」(日本語版では「逃げても、かなり無駄だった」)はデスフェニックスの攻撃で、ここからは「生命がある限りその攻撃から逃れることができない」といったニュアンスが汲み取れます。 五王の途方もない強大さが、本人たちのフレーバーとも相まって描かれていますね。特にデスフェニックスが余裕でヤバいです。 そして何より...海外版デュエマはDM-12で展開が終了してしまったため、この先超獣世界がどうなってしまったのか、もう誰にも分からなくなっているという事ですね。 エターナルフェニックスは無事降臨し、超獣世界を救ってくれるのか。それとも何かちょっと良い奴感が出ているソウル・フェニックスが意外と何かするのか、もしくはデス・フェニックスがその名の通り「破滅の化身」として世界を滅ぼし、日本語版とは全く違った結末を歩むのか... ある意味ではシュレーディンガーの猫の様に、描かれていない以上どんな結末をも迎えうる。それが海外版デュエマの超獣世界なのかもしれません。

おわりに

という訳で海外版・五王事情でした。いやあ、海外版って本当に面白いですね。今回はカードのフレーバーからのみ情報を読み取ったのですが、実は五王の話はこれで全部じゃないんですよね。 海外ではいくつものオリジナル書籍が出ているので、もしかするとこの続き、あるいはそれを示唆する様な記述がある可能性があるんですよね。手元に無いので今回はスルーしましたが、手に入った暁には是非その歴史を紐解いてみたいものです。 以上、海外版コレクターのなず(@snowfaily_dm)が海外版情報をお送り致しました!

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